札幌市でゴミを出すとき、当たり前のように買っている「黄色い指定ごみ袋」

こんな疑問を持ったことはありませんか?

「なぜ札幌はゴミ袋が有料なの?」


「人口が減っているのに、なぜゴミが増えるの?」


「大阪や横浜、東京23区は無料なのに、なぜ札幌は無料にできないの?」


「ゴミ処理は市民税で払えばいいのでは?」

調べてみると、意外なことが分かりました。

札幌市のゴミ処理が有料袋なのは理由があります。

それは札幌市の「ゴミを減らすための政策」です。

そして、もし無料に戻すなら、条例を変え、約33億円の収入を別の方法で補う必要があります。

札幌市のゴミ袋はなぜ有料なの?

札幌のゴミ袋有料化の理由

一番わかりやすく言えば

「ゴミ処理のお金がないから有料」ではない。

ゴミを出した量に応じて、出す人にも負担してもらおう

そのことでゴミを減らし、リサイクルを進めよう

という考え方です。

もともとは無料でした。

2009年7月から家庭ごみを有料化になったのです。


現在の条例では、40L袋80円、20L袋40円、10L袋20円、5L袋10円という仕組みになっています。

札幌がゴミ袋を有料にした経緯は?

時系列でみると

・1972年から約36年間、家庭ごみの無料収集を続けていました。

・2008年、市は無料収集を見直し、家庭ごみ有料化の条例案を市議会に提出。

・2009年7月、「新ごみルール」+「有料指定ごみ袋」

が始まりました。

市が説明していた主な理由は、

・ゴミを減らす
・リサイクルを進める
・ゴミを出す量に応じて負担する
・市民にゴミ処理費用を意識してもらう

というものでした。

本当にゴミは減ったの?

これは「はい」です。

ただし、有料袋だけの効果と断定することはできません。

2009年の新ごみルールでは、有料化と同時に分別方法なども大きく変わりました。

その結果、札幌市は開始1年後、

燃やせるごみ → 36%減
燃やせないごみ → 74%減
廃棄ごみ全体 → 41%減

と報告しています。

さらにゴミが大幅に減ったことから、札幌市は4つあった清掃工場のうち篠路清掃工場を廃止しました。

つまり、

「有料化には、ゴミを減らす効果を狙った政策的な意味があった」

これは札幌市自身の資料から確認できます。

現在、「ゴミが増えている」とは言い切れない

ここは重要です。

「人口が減っているのにゴミが増えている」

という疑問がありますが、札幌市の最新データを見ると、家庭ごみはむしろ減っています。

札幌市の家庭ごみ

・令和3年度 約38.2万t
・令和4年度 約37.7万t
・令和5年度 約36.8万t
・令和6年度 約35.8万t
・令和7年度 約35.0万t

札幌市の最新統計では、令和7年度の家庭ごみは349,638t。令和6年度の358,008tからさらに減っています。

❌「人口が減っているのにゴミが増えている」

ではなく、

⭕ 「人口が減っているのに、なぜかゴミが減らないように感じている」

札幌のゴミは、人口減より速いペースで減っています。

ただし、

・ゴミ減少の原因は有料袋だけではない
・札幌市は、有料袋にもゴミを減らす効果があるとしています
・そのため、現在のデータだけで「無料にしても大丈夫」とは言えません

つまり「ゴミが減っている=有料袋をやめられる」ではない。
無料化するなら、同じ減量効果をどう維持するかがポイントです。

では、札幌市は年間いくらゴミに使っている?

令和6年度決算を見ると、

札幌市の清掃事業、約450.8億円

そのうち、

・ごみ処理費:約143.1億円
・ごみ処理施設などの建設・整備:約253.7億円
・職員費:約45.4億円

などとなっています。

札幌市は家庭ごみ袋などから年間約33億円を集めている

その使い道は札幌市のサイトに記載されています

「市民税で払えばいい」は間違いなの?

ここも非常に重要です。

答えは

「できない」わけではありません。

実際、札幌市の令和6年度決算では、清掃事業に対して

一般財源:約145.4億円が入っています。

ただし、一般財源=全部が市民税ではありません。

ですから、「札幌市は市民税をゴミ処理に使っていない」というのは間違いです。

すでに税金などの一般財源が使われています。

では、無料にしたらどうなる?

ここが市民にとって一番重要です。

家庭ごみ袋を無料にすると、

今まで

市民→指定ごみ袋を購入→年間約33億円→札幌市の清掃事業となっている。

これを無料にすると、

無料化後→市民→袋代0円→約33億円分の財源を別の方法で確保となります。

つまり、

「無料=ゴミ処理費がゼロ」ではありません。

ゴミ処理そのものにはお金がかかります。

無料化することは制度を変更することが必要です。

「ゴミを出す人から直接集める約33億円を、別の財源で負担する」

大阪・横浜・東京23区はどうしている?

ここを見ると、札幌市民の疑問がさらに大きくなります。

項目札幌市大阪市横浜市東京23区
家庭ごみ袋有料基本無料基本無料基本無料
袋代年間約33億円/年なしなしなし
ごみ処理税金+手数料等税金等税金等区・都・清掃一組など
有料化の考え方減量・負担分別・減量等分別・減量等分別・減量等

大阪市は令和6年度、家庭系ごみ36.1万t、焼却処理量88万tでした。家庭から焼却されるごみは1人1日302gです。

横浜市も令和6年度の「ごみ処理にかかる費用」を473億円と公表しています。つまり、無料の袋だからといってゴミ処理費がないわけではありません。

東京23区も家庭ごみ有料化を実施していません。東京都は、23区では未実施であることを明記しています。

ここから分かること

ゴミ袋を無料にすること自体は可能です。

ただし、

「無料にしたらゴミ問題が解決する」

という話でもありません。

大阪・東京23区なども、分別、リサイクル、食品ロス削減など別の方法で減量を進めています。

要するに、やっぱり政策の問題、他の都市が無料なのに札幌が有料なのは単に札幌市のゴミ処理に対する政策が違うからです。

世界ではどうしている?

世界も一つの方法ではありません。

🇰🇷 韓国

韓国は札幌に近い考え方です。

1995年から全国的に、

「ゴミを出した量に応じて料金を払う」という制度を導入。

指定袋を買ってゴミを出します。

韓国政府は、この制度をゴミ減量とリサイクル促進のための制度と説明しています。

🇸🇪 スウェーデン

スウェーデンでは、市町村が廃棄物処理料金を徴収します。

しかも、ゴミ箱の大きさや分別などによって料金を変える

仕組みもあります。

つまり、「ゴミを出すほど負担する」という考え方です。

🇬🇧 イギリス

イングランドでは、一般家庭ごみの収集は原則として自治体が行い、法律上、通常の家庭ごみ収集について料金を取ることは制限されています。

一方、庭ごみなど一部は有料にできます。

世界を見ると,「有料が正解」でも「無料が正解」でもありません。

大きく分けると、

A 出した人が払う、韓国・札幌など

B 税金などで広く負担する、イギリスなど

C 基本料金+ゴミ量などで変える、スウェーデンなど

という違いがあります。

では札幌市は「無料」に戻せるのか?

答えは「制度上は可能」です。

現在の札幌市条例には、家庭ごみ処理手数料と指定袋について規定があります。

したがって、単純に「市長が明日から無料にします」

という話ではありません。

条例と財源を変更する必要があります。

市民が「無料化」を求めるなら、どうすればいい?

ここからが一番実用的な部分です。

STEP 1 まず札幌市に数字を出してもらう

市民が最初に求めるべきなのは、「有料化の費用対効果」です。

例えば、

「年間約33億円の家庭ごみ処理手数料によって、年間何トンのゴミ削減効果があったのか?」

を札幌市に説明してもらう。

さらに、

「無料化した場合、ゴミは何トン増えると予測しているのか?」も聞く。

これが非常に重要です。

STEP 2 無料化案を「代替案」とセットにする

単に、「ゴミ袋を無料にしてください!」だけでは弱い。

例えば、無料化案

①指定ごみ袋を無料化

②年間約33億円の財源を一般財源などで置き換える

③分別を徹底

④資源ごみは無料収集

⑤食品ロスを減らす

⑥事業系ごみと家庭ごみをさらに明確に分ける

⑦無料化後3年間、ごみ量を毎年検証

という方法です。

STEP 3 「無料化したらゴミが増えたらどうする?」も最初から決める

ここがポイントです。

無料化にはリスクもあります。

有料袋の最大の目的は、

「ゴミを出すことにお金がかかることで、減らす動機を作る」

ことだからです。

環境省も、家庭ごみ有料化には、排出抑制、リサイクル、負担の公平化などの意義があるとしています。

だから無料化するなら、

「無料にしたら何でも捨てていい」

にはしない。

例えば、

・分別強化
・リサイクル強化
・食品ロス対策
・大型ごみは有料
・事業ごみは別途負担
・ゴミ量を毎年公表

などを組み合わせます。

STEP 4 市民の意見を集める

札幌市にはパブリックコメント制度があります。

政策案について市民が意見を出し、市はその意見を考慮して政策を決定し、結果も公表する仕組みです。

原則として意見募集期間は30日以上です。

つまり、

「無料化を検討する政策案」が出てきた場合、市民が正式に意見を提出できます。

STEP 5 札幌市議会で条例を変える

ここが最終的に重要です。

現在の指定ごみ袋の料金は、

「札幌市廃棄物の減量及び処理に関する条例」に規定されています。

したがって、無料化するなら

・条例改正

・市議会で審議

・可決

・施行日を決定

・指定ごみ袋制度を変更

という流れになります。

市民がやることはこれだけ

難しく考える必要はありません。

「札幌市ゴミ袋無料化」への市民側の手順

① データを確認する

② 札幌市に「33億円の効果」を質問する

③ 無料化した場合のゴミ増加予測を聞く

④ 無料化+分別強化などの代替案を作る

⑤ 市民の意見を集める

⑥ 市長・札幌市に政策提案する

⑦ 札幌市議会に条例改正を求める

⑧ パブリックコメントがあれば意見を提出する

⑨ 条例改正案を議会で審議

⑩ 可決されれば無料化

まとめ

札幌のゴミ袋が有料なのは、「お金がないから」ではありません。ゴミを減らすための政策です。2009年の有料化後、札幌のゴミは大きく減りました。

ただし、無料にできないわけではありません。

無料化には条例の改正と、約33億円の財源の置き換えが必要です。

しかも「無料=処理費ゼロ」ではなく、負担する人が変わるだけです。

大阪や東京23区が無料なのは、札幌と政策が違うから。

世界を見ても、有料が正解とも無料が正解とも言えません。

大切なのは、感情ではなく数字で考えること。


有料化の効果は何トンか。

無料にしたらゴミはどう変わるか。

そこを知ってから、パブリックコメントや議会を通じて声を届けましょう。

黄色い袋の1枚80円には、理由があります。


あなたはどちらの仕組みを選びますか?